十二人の怒れる男
「話し合う」と一言に言っても、ディベートであるのか、
コンセンサスを得る為のものなのかで様子は一変します。
ディベートは裁判(被告と原告が争う場面)や、国会などで行われる討議とし、
コンセンサスは、互いの主張を理解し合うものとします。
ディベートは自分の意見を通すために戦います。
相手の論点の弱点を攻め、論拠を崩します。
敗れた方の主張は却下され、勝利者の主張が「結論」となります。
故に、勝者は愉快ですが、敗者は不愉快になります。
日常的にはディベートの場面が多いようです。
それは、最終的に結論を出す為です。
コンセンサスを得るには時間も労力も掛かります。
その上で、結論が一つに纏まるとは限りません。
正しい答を持っている人などいないのですから。
話すことを、ディベートだと思っていると、
簡単な話しでも「反対意見」は論争の出発点となってしまう恐れがあるので、
安易に反対意見は言えません。
コンセンサスは結論を導き出すのに時間や労力を大層必要としますが、
互いの違いに対して理解を深めるというのは愉快なものです。
最終的に、意見が揃わなくても、勝者も敗者もなく皆が愉快でいられます。
ただし、結論に達するのは容易ではありません。
さて、上記で紹介した映画は、見知らぬ12人がグループを形成し、
討議した上で、全員のコンセンサスを得て、
一つの結論に達するという、ストーリーが描かれています。
同じ趣旨で、コメディ仕立てで作られた三谷幸喜作の
『12人の優しい日本人』という映画(または舞台)もあります。
因みに、これから日本にも導入されようという陪審員制度は、
「多数決等でなく、陪審員全員のコンセンサスの元に結論を導き出されるように」
という前提で準備が進められていると聞いています。
この2本の映画は、
コンセンサスとディベートの違いを楽しむことが出来ます。