一見、日常を平穏に送っている人、
少し前、あるいはずっと前に辛いことがあったけれど、
今は大丈夫だと言う人。
毎日が平穏に過ぎる事が普通と感じる人は多いのではないでしょうか。
しかし、人が生きるということは、
常に細かなバランスを取り続けているのです。
揺れるシーソーや丸太の上、あるいは、
シンクロナイズドスイミングの立ち泳ぎのように、
絶えず、バランスをとって泳ぎ続けている、それが日常なのです。
あまりにも自然に呼吸しているように、
ほとんど無意識にバランスをとっているので、
日常的には気付かないでしょう。
だから、通常より大きくバランスを崩してしまった時だけ、
「何かを踏み外した」と感じるのです。
すると、その時だけ何かをしたように感じるのですが、
実は、常に不安定な状況で細かくバランスを取り続けていただけなのです。
毎日を生きるというのは、そのように不安定なものです。
それは、人間が心と身体という相反する性質のモノで構成されていて、
自分を取り巻く環境が、時間の経過と共に、
時々刻々と変化し続けているからです。
でも、その事を不安に思う必要は、全くありません。
不安定で当然なのです。
そして多くの人はバランスの取り方を知っているし、実際出来ている。
たまに、グラッとすることがある、それも普通の事です。
そもそもが、誰もが日常を「辛うじてバランスをとっている」
ということを知れば、グラッとする時があっても、
それを必要以上には恐れないですみます。
少し大きく揺れて体調を崩す時もあるかもしれません。
そんな時、肉体というのは実に足手まといです。
気持ちの上では、やる気でいるのに、肉体がついて来ないのですから。
そんな時は、違うアプローチで肉体を使うと、
解決策が見えることがあります。
適度に人とのコミュニケーションを持ちながら、
スポーツをする、楽しい作業をする等は有効です。
コツとしては、楽に余裕を持ってできることでは、
あまり有効ではないし、逆効果である場合もあります。
少し苦労をして、達成する目標を持てることの方が良いです。
ただし、グラッとしてしまった時は、
少なからず自信を喪失していますから、
「出来る」事をやって安心したいという気持ちも起こります。
しかし、少し挑戦する方が、集中しやすいですし、やる気が起きます。
「少し」というのが大切です。
感覚としては「やったことはないけど、これなら出来そうだ」
という位のことです。
もちろん「是非、やってみたい」ということがあればそれが一番です。
以前に経験があたり、ある程度の実績にあることでは、
不要なプライドを引きずったりして、有効ではないこともあります。
心機一転、似ているけれど、違うもの、
一から学ぶ、といったことが有効です。
まず、日頃から「バランスは辛うじて取っているもの」と知ることです。
そして、仕事や家庭とは違うコミュニティーを持っておくことが、
日常のバランスを取り易くしますし、
少し崩れた時にも持ち直し易くします。