『犬と猫と人間と』
観て来ました。
へちまこさん達のボランティアによる無料上映会です。
http://living-wan.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-e84e.html
こんなに良い映画だと思いませんでした。
とにかく、作品としての質がとてもよい。
全体に流れる空気が優しい。
テレビのドキュメンタリーのように、
押し付けられる「問題提議」もない。
終わって、一緒に観た友人に
「押し付けられる問題提議がないから、自分たちで考えないとね」と話していたら、
友人が、しろえもんの後半のしつけや、自ら脚側を選んだレオと
「似てるね」と言いました。
しろえもんや、レオのように、
私たちも、強制、または矯正(でもいいかも)された位置ではなく、
「自分でドコ(どうしたら良いのか)がいいのか考えないとね」と。
この映画のネタバレは書きたくないですね。
なぜなら、絶対観て欲しいから。
観た方がいいです。
断固!観た方がいいです。
怖くないです。
確かに、悲しい場面なのですが「怖い」という訴え方ではないのです。
私は自分が思ったより、泣きませんでした。
考える事が多すぎて、泣く暇は無かった。
映像というものの持つ潜在的な恐ろしさというのでしょうかねえ。。。
ペンは剣より強し…と言うけれど、映像はペンより強し…なのかもしれませんね。
作り手の胸先三寸でおなじ場面が、全く違う画面になる。
テレビで映像を作る人は、本当に自分の「良心」に問うて欲しい。。。
私は情熱大陸を観なくなりましたが、
その理由の一つに、
誰のどのドキュメンタリーでも、起承転結があることの気持ち悪さがあります。
例えば、かならず「当日」にアクシデントがあります。
アクシデント自体は実際に起こった事でしょうが、
これをクローズアップさせるのは、情熱大陸のストーリーとして重要だからです。
実際には、ささいなものも、映像はクローズアップさせ、
それが、その日起こった重大なことのように見せる事も出来ます。
情熱大陸を観ていた当時、
水戸黄門の印籠のように毎回「当日のアクシデント」が起こるので、
私は観るのを止めました。
飯田基晴監督は素晴らしい。
ドキュメンタリーってこういうものだよね、と私は思います。
多分、私はファンになってしまったのだと思います。
こういう作品を作る人がいるのだ、と。
映画の依頼者である稲葉恵子さんが「人を見る目はありますよ」と笑う。
敢えて「老人」と言わせていただきたいのですが、
私はこういう老人になりたい。
老人をこのごろの日本は「老い衰えた人」とするけれど、私は、
齢を重ね経験豊富な人と考えています。
だから、徳川幕府では重要なポストの役職を
「老中」とか「老女」とか言ったでしょ?ね^^
トークショーで、飯田監督が言うには、
稲葉さんは、飯田監督の「あしがらさん」
http://www5f.biglobe.ne.jp/~ashigara/profile.html
を観て、監督に白羽の矢を立てたのだそうです。
そして映画の冒頭シーン…「ぼくでいいんですか?」と監督が問うと、
「人を見る目はあります」と稲葉さんは笑う。
社会的な弱者に目を向けない社会は恐ろしい。
資本主義の恐ろしさはここにある。
利益を優先したら、絶対に救われない弱者があらわれる。作り出されると言ってもいい。
損をする人がいるから、得をする人がいるのだ。
利益を優先すると、必ずそういうことになる。
しろえもん…
かわいい!最高のいい犬じゃないですか!
犬なら当然のはしゃぎ方だし、健康だし、ハートも強い。
なにより、こんなに人を好きだなんて。。。
なぜ、こんなに犬らしい、かわいいコが「飼い難い犬」となってしまうのか…
こんないい犬を「飼い難い」としてしまう社会は、
社会の方が歪んでいる…と、私は思うのですが。。。
ひもに括られて、しずしずと歩き、
四方八方から伸びる「触りたい〜かわいい〜」という嬌声に耐えて、
じっとしている、そんなのが「いい犬」なのでしょうか?
そんな人間の都合に合わさせようとして、
猛獣使いのような訓練をする人間って何???
丁度、友人と上映前に、犬のしつけの話しなどをしていました。
偶然です。
友人は「早く新たな飼い主さんに巡り会うためには服従訓練もやむを得ないのでは?」と。
私は、その時点で明確な答えは正直持てませんでした。
しかし、映画を終わって、これはハッキリしました。
やはり服従訓練はアリエナイ!断固アリエナイ!
しかし、きちんとカメラの前に立った訓練士さん達は皆さんエラい!
この映画で、唯一、場内から「笑い」が起こるシーンがありました。
しかし、私と友人は笑わなかった。
場内の半分は笑わなかった。
恐ろしい場面でした。
このシーンを観て人が笑う、というのが現在の実情で、それが恐ろしい。
もう一つ、
獣医師を選んだ人の強さを美しいと思いました。
「動物が好きだから」
毎日のように殺処分をしなければいけないのに、私には意味が分かりませんでした。
でも「動物が好きだから、嫌いな人の手ではなく、好きな人の手で…」と。
心臓を直に触る人の言葉なのかな〜。
医師というのは、こういう覚悟がいる、こういう覚悟をもって取り組んでいるから、
「聖職」と呼ばれるものなのだ、と。
ただ、やはり、無い方が良い「仕事」ではありますよね。
あ〜〜〜〜あとですね〜〜う〜〜〜ん…
子供達も一杯来ていました。
私も大賛成です。
オペラじゃないんだから、子供さんにこそ、観てもらいたい。
あ、一つお母さんに言いたい!
議員さんがご挨拶しておられるときに、
自分からお子さんに何やら話しかけてました。
こういう場面で私語はイケナイと、教える場面ですよね。
お母さんが話しかけちゃ全くもってイカンでしょ!めっ!です。
で、お子さん達ですが、上映中やっぱり、飽きちゃうんです。
当然です。ディズニー映画じゃないから。
飽きてもいいです。
でもね、飽きたからと言って騒がないんですね〜。
このごろの子供さんは、そういう風に「しつけ」されているんですね。
でもね、子供さんが騒がないように親御さんが与えたのは
「携帯電話」だったのです。電源入りのorz
光るんですよ、開くとね。いえ、開かなくても光ってるのもありますけどね。
一組の親子さんじゃないです。私から見えただけで二組です。
私の感じた疑問は2点です。
こういう状況で騒がないように、子供はしつけるべきなのか?
騒がない為なら携帯電話を与えてよいのか?
携帯に関しては、私の答えはハッキリしています。
NO!です。これは、親御さんも「イケナイ」と知らなかっただけで、
知ったら「失敗した〜」と分かってくれるでしょう。
しかし、上映終了まで騒がない…って、
子供には、荷が重過ぎる気がします。
騒いだって仕方ないんじゃないかな?
こういう状況で騒がないようにキッチリ「しつけ」られているのが、
…北朝鮮の子供達なんだろうなあ、と。
だから、騒がないようにさせる方法はあるだろうし、
不可能ではないと思うのですが、
騒いでこその「子供らしさ」というか…
う〜む、いい子達なのでしょうが、
私には、大人はどうするべきなのか、
「しろえもん」と「子供達」には、同じ問題を感じました。
ただ、騒いだら、親御さんにも鑑賞は諦めていただいて、即退場!ですけど^^;
夏にはDVDも発売になるとか。チラッとですがおっしゃってました。
観れない方にはチャンスです。
良い映画をありがとうございました。
===========10.09.14追記
がみがみさんの記事にトラックバックさせていただこうと思います。
「犬と猫と人間と」を観てきたの
http://komedouraku.blog.eonet.jp/default/2010/09/post-a349.html
私が上手く言えなかったことが「ズバリ!」な感じです^^