レオと「麻薬捜査犬ごっこ」をすることがあります。
レオを、レオからは私を見えない位置に待機させ、
私がその間に紙に包んだり箱に入れたりしたオヤツを部屋のどこかに隠し、
ヨシ!で探索開始です。
探す様子を見ていると、イヤになっちゃうくらい、
こいつ見てたんじゃないの?というくらい、私の隠し場所に一目散に向かってしまう。
絶対見える筈はないんです。
記憶も使っているとは思います。
以前に隠した場所は一応チェックします。
その一目散の様子を見ていて…
どんなに静かに隠したつもりでも、相手は犬…聞こえているに違いない。
と私は罠を張ることにしました。
オヤツをアチコチでカサコソカサコソさせてから、そのカサコソさせた中のどこかに隠すのです。
ふふふ…ちょっとは惑わされるようになりました。
私がカサコソさせたところを追いかけるように探しています。
…って、どうして、そこでカサコソさせたって分かるの??
これはこれで驚きました。
音の種類で、カーテンとか、座布団とか…そういう聞き分けをするのかな?
とも思いますが…
なんというか「位置情報」をしっかりつかんでいるな、という感じがします。
音源の方向と距離を正確に把握している感じ。
そんなレオを見ていて。。。
音圧。
大科学実験
http://www.daikagaku.jp/content/vol008/
====引用します
コップが変形して振動すると、周りの空気を押したり引いたりします。このときの空気の動きを私たちは音として聞きます。振動のスピードが速ければ高い音に、遅ければ低い音に聞こえます(ゼリーを揺らしても音が聞こえないのは、私たちの耳には聞き取れないくらい低い音だからです)。
===中略
音の大きさ(音量)のことを科学の世界では「音圧(おんあつ)」といいます。「圧」は圧力、つまり音圧は音が空気を押す力のことです。同じ高さの音であれば、音圧が大きい(押す力が強い)ほど大きな音として聞こえます。
私ね、音って…なんていのかな…「聞こえるもの」と思っていたんです。
見る=色を感じる 赤いと感じる
というのと同じように、
聞こえる=高い音 可愛い音 みたいに…上手く言えませんが。。。
でも、大科学実験の説明を読むと、
「空気の圧された感じ」が鼓膜に伝わったもの…ですよね?
圧力を感じているってことですよね?
以前、第九を聞きに行ったことがあります。
今、第九というと、とんでもない人数の合唱付きで、
それに見合うオーケストラだったりするのが主流でしょうが、
私が聞きに行ったのは、ベートーベンの初演と同じ編成のもの。
舞台にこじんまりと…今の一般的なオーケストラよりも少人数だと思います。
素敵な演奏会でしたよ。
第九自体、知らないワケじゃないけど、全部をちゃんと聞いたことがあったのかしら?
という感じではありましたが。。。
印象的だったのが「大太鼓」でした。
所謂「大太鼓」ですよ。小学校の音楽室にもある、あれです。
私にとっては、そういう普通にある、楽団の中では地味な楽器。
まだ、シンバルの方が派手だよね。
でも、第九の終盤、この大太鼓がとても印象的でした。
実はね、ベートーベン初演の第九って、
当時にしては「大編成」なんですって!
演奏会が終わって「ほ〜」とため息をつきながら「生演奏はいいなあ〜」なんて友人と語り合うわけですが。。。
生演奏の何がいいって「音が感じられるからだよね」なんて話しました。
そうなの、楽器ごとの拍動が違うんです。
その一つ一つがそれぞれの振動となって、肌に直接伝わって来る感じ。
全身を優しいマッサージ機に委ねている感じなんですね。
それが、終盤の大太鼓は特に「強い拍動」として、
全身に響きました。
…そしてね、思ったんです。
第九の頃、ベートーベンは、もう耳が悪かったんだな…って。
だから、大編成にする必要があったし、
より強い印象をつける為に、当時最新の大太鼓を演奏に採用したのだ…と思いました。
そう、何を隠そう、大太鼓をオーケストラに最初に使用したのは、
ベートーベンのこの第九だったんですね。
他にシンバルとトライアングルも、この時初めて採用されたそうです。
もう耳が聞こえなくなっていたから、
拍動としてより強く感じるような編成にしたのではないでしょうか。。。
…で、やっと繋がったワケです。
私が感じたこの大太鼓の「拍動」肌にバンバンとブチ当たるような感じ。
これが「音圧」でしょ?
耳には「ドン!ドン!」と太鼓の音として聞こえているけれど、
肌には空気がぶつかって来る。
そしてレオです。
レオが音を聞いている、と私は思っていました。
私の耳に太鼓の音が「ドン!ドン!」と聞こえるように…
でも、もしかすると、拍動そのものを感じているのかもしれない。
音から、その音源がどういうことになっているのか…レオは分かってしまうのかもしれない。
例えば、バイクのエンジン音。
破裂音が怖いのは本能的なものだろう…くらいに思っていました。
でも、もしかしたら、エンジンの構造など知る筈もない犬が、
エンジンの中で、毎分数千回の爆発が起っていること、
硬い金属がもの凄い回数のピストン運動をしていることなどが、
「見えて」いるのかもしれない。
大きな音だから怖いのだろう…くらいに考えていたけれど…
もっと、キチンと「物体の運動」を音から把握して、怖がっているのかもしれない。
「かもしれない」ばかりだし、それだけなんだけど^^;
「音」から「何が起っているか」犬には「見えている」と思っていいのだ。。。
犬の耳はいい…ということは知っていたけれど…
うん、音を感じるってこういうことなんじゃないのかな。。。
松雪泰子さんのドラマ『心の糸』
http://www.nhk.or.jp/nagoya/ito/index.html
ここで、耳の聞こえないお母さんが、
息子のピアノの演奏を、床に手を置いて「感じている」シーンがある。
「聞こえない人でもこうして感じられるんだ」
なんて私は思ったわけだけど…なんて健常者気取りの不遜な想いであっただろうか。
音とは、そもそもこのように「感じる」べきものではないか!
なまじ「聞こえる」などと思うから「音」の本質から遠ざかってしまう。
ラジオやテレビやステレオから聞こえる「音」を「音」だと思ってしまう。
ステレオから聞こえる音は、電気信号に置き換えられた音のエッセンスに過ぎない。
桃の香りのシャプーのような、桃の香りのような気がする、
桃とは似て非なるもののような。。。
電気信号の置き換えられた音は、本質的な音ではない。
伝えているとしたら「電気」だ。
だから、レオはテレビの音にはほとんど反応しない。
過去に反応したのは、命の危機にある犬の泣き声…くらいだ。。。
もともと電子音であるものなら反応する。
携帯の着信音とか、パソコンのメール送信の音とか…
音の種類はちゃんと聞き分けている。
携帯は仕事とか、ワンコ仲間でわけてあるが、
ワンコ仲間だと私がテンション高く出てしまうので、
着信音の時点でレオも大騒ぎになる。
メールはただ開いて見るだけだから、
メール着信音には反応しない。
これらはメロディのある音楽だ。
つまり、レオは音楽をちゃんと聞き分けている。。。
パソコンのエラー音には無反応だが、
パソコンのメール送信音は仕事終了の可能性があるのでピクっとする。
しかし「音」の聞き分けがこんなにちゃんとしていても、
電子音が電子音でしかないことも分かっている。
だから、外で「音圧」によって反応が違うわけだ。。。
う〜む、纏まったような、纏まらないような…
とにかく!
私の中で「音を感じる」感覚が変わりました。
レオに教えてもらいました。