「何を言わなかったか」
これは、塩谷先生がよくおっしゃることですが…
行動主義心理学では「行動」を抽出するのに、
塩谷先生が見ているのは、その人は「何を言わなかったのか」「何をしなかったのか」。
これは「何を言ったのか」「何をしたのか」をキッチリ抽出することで見えて来る。
ヒドゥンアジェンダ。
敢えて言葉を選ぶということは、「言ってはならない言葉を避けている」ということ。
絶対に言ってはイケナイ一言の為に、それ以外の言葉を選ぶ。
絶対に言ってはならないことこそが「本音」。
何を言わなかったかとは、何が本音であったか…ということ。
行動を抽出するということは、言葉の本音だけではなく、
心の本音、情動の本音を浮き彫りにするとういこと。
私はここに行動主義心理学の本音があると思う。
チャーリーママさんのトレーニングを支えているものが「レスポンデント反応(条件付け)」なのだそうです。
普通のトレーニングは、オペラント条件付けです。
犬に「何か」をさせたり…すること。
オペラントは「見える」ことをするんです。
だから、多くの人は「見える問題行動」を「見える対処法」で変えようとする。
だから大方「方法」を教わることになる。
犬のトレーニングはほとんど…というか、どこもそういうもんですね。
チャーリーママさんが、なぜレスポンデント反応に注目したのか…!?
これは私の想像です。
チャーリーママさんは、ご自分が当たり前に犬としていることと、犬と上手くやれない…と悩んでいる飼主さんとの違いを考えたんだと思うんです。
オペラント的な「方法」の中からアレコレ選んで対応することで、改善し上手く行くペアもあるだろうけど…でも、上手くいかないペアもあったのだろうと思うのです。
そのとき、何が違うのか…考えられたのだろうと思います。
多くのトレーナーさんも考えると思います。
そして「方法」を教えたけれど「飼主さんがトレーナーのように上手くやれていないから、犬に通じないのだ」という結論に至る。これは間違っていない。
しかし「リーダー論」でトレーニングを構築しているトレーナーさんだと、たちまち「アナタが犬のリーダーになっていないから、犬に舐められて言うことを聞かないのだ。まずアナタが犬のリーダーとなって、この『方法』を使えば犬は言うことを聞く」ということになるんだと思う。
そして、飼主さんは「犬のリーダー」になるために、チョークチェーンで苦しい思いをさせたり、怖い顔と声で「命令」したり、甘えてきても突き放したり…するんだろうな。
上手く出来るトレーナーと、上手く出来ない一般の飼主さんの違いを「リーダー論」と思わなかったチャーリーママさんは別なことを考えたんだね、きっと。
なぜ、チャーリーママさんはリーダー論を取らなかったか?
きっと、チャーリーママさんが犬と暮らしていている中で、犬を脅かしたりしないで普通に暮らしていたんじゃないかな?
自分はリーダー論のようにしていないのに、犬はちゃんと言うことを聞く。
リーダー論って正しくない…では、普通の上手くいかない飼主さんは何が違うの?って。。。
それがね「愛情の壷」かな。
今の日本の仔犬がやってくる流通にまず大問題があって、
最も酷い鶏小屋(そのお陰でタマゴは景気の優等生なんだけど。。。)の
ようなところで生まれた仔犬達は、
離乳もままならないウチに母犬と離され、
恐怖のレスポンデント条件付けの日々を過ごして、飼主さんのところへやってくるのだ。
中にはハートの強いコもいる。
酷い流通の中でも、精神の安定を保って飼主さんに辿り着くコもいる。
それは、両者ともにラッキーだ。
そういうコと、弱いハートで悪い怖いレスポンデント条件付けをされたコを比較してはイケナイ。
飼主さんの元へ辿り着いてからも、
毎日がレスポンデント条件付けの日々だ。
それは犬だからではなく「心」のある生き物が生きている限り、毎日、刹那に起っていることだ。レスポンデント反応が起ってしまうということ…それが「生きている」ということなのだ。
すくすくと問題なく絆を築けたペアと、どこかで躓いてしまったペアは何が違ったのか?
チャーリーママさんはそれを考えたんだと思う。
そして、辿り着いたのが、
家庭で迎えた後の、飼主さんの無意識のレスポンデント条件付けじゃないだろうか?
人間が犬という生き物を知らないことで、
犬が怖がることを知らずにしていたり、不安な気持ちから甘えているのを、誤ったしつけの概念で拒絶してしまったり…そういう行き違いに着目したのではないか?
それは、しつけ本に書いてある「これをしなさい」に誤りがあるのではなく、上手くやれない理由は「見えている」「やったこと」にあるのではなく、その影で見えない「違い」に原因があるのではないか…。。。
見えている「やったこと」は同じなのに、上手くいくトレーナーと、上手くいかない素人の違いは「見えていない」ことに原因がある。。。
問題を抱えてしまったペアの飼主さんが、
「何をしたか」ではなく、「何をしなかったか」にチャーリーママさんは注目したのではないか?って私は思うのです。
「しなかった」から「不快な方のレスポンデント反応」起ってしまい日々条件付けされる。
どうしたら、飼主さんが自力でワガコに「心地良いレスポンデント反応」を起こさせてあげられるのか?
ということ考えてこられたのではないでしょうか。
「名前を呼んでオヤツ」は、
基本、象徴とも言える、互いの間に心地良いレスポンデント反応を起こす条件付けですよね。
http://charliemama.weblog.to/
http://charliemama.weblog.to/archives/cat_30029.html
「見える」トレーニングに捕われているウチは分からない。